コラム

エーミングの義務化の背景。法的根拠とは?

近年、クルマの「エーミング」という言葉を耳にする機会が増えています。

特に整備業界や車検の現場では「義務化」「法改正」などの話題が広がり、オーナーや事業者の皆さまも不安や疑問を感じているのではないでしょうか。

この記事では、なぜエーミングが義務化されたのか、背景や法的根拠、現場で求められる対応策までをやさしく解説します。

先進運転支援システム(ADAS)の普及と進化

近年、自動車に搭載される「先進運転支援システム(ADAS)」は急速に普及し、その機能も年々進化しています。

ADASとは、車載カメラやミリ波レーダー、各種センサーを用いて、車両の周囲の状況を検知し、ドライバーの運転をサポートする先進技術です。

たとえば自動ブレーキや車線逸脱警報、追従クルーズコントロールなどが該当します。

これらの安全装置はカメラやセンサーの正確な位置・校正によって正常な作動が保証されており、エーミング作業の重要性が年々増しています。

従来の整備基準と大きく違う?

従来の整備基準では、エンジンやブレーキといった機械的な部品の点検・調整が中心でした。

しかしADAS搭載車では、電子制御装置やカメラ・レーダーの位置・角度の「調整=エーミング」が必須項目となりました。

たとえばフロントガラス交換やバンパー修理などでセンサーやカメラがズレると、ADASが誤作動を起こす可能性が高まるため、従来整備とは別次元の「精密な電子整備」が求められています。

安全性の確保の重要性

エーミングの適切な実施は、車両の安全性を維持するうえで欠かせません。

センサーやカメラの位置がわずかでもズレると、衝突被害軽減ブレーキや車線維持支援などの先進安全装置が正しく動作しなくなります。これが事故やトラブルにつながることも。

エーミングの義務化は、ドライバーや歩行者を守るための“社会全体の安全確保”が目的とされています。

国際的にも進む義務化の流れ

日本だけでなく、欧州や北米など世界各国でもADASの搭載が進み、エーミング作業の義務化・法整備が広がっています。

特にEUでは新車の衝突安全基準の中で自動ブレーキなどの装備が義務化され、正しい整備・校正が強く求められています。

日本の法改正も、こうした国際的な安全基準への対応という側面があります。

法的根拠

特定整備制度の導入(2020年4月1日施行)

2020年4月1日から「特定整備」制度がスタートしました。

ADAS搭載車両の電子制御装置(カメラ、ミリ波レーダー等)の整備・校正作業=エーミングは、「特定整備」として国土交通省に認証された工場でなければ実施できません。

これにより、認証工場以外での作業や無資格でのエーミングは違法となります。

電子制御装置整備とは

「電子制御装置整備」とは、衝突被害軽減ブレーキなど先進安全装置のセンサーやカメラなど、電子的に車両制御を行う装置に対する整備・調整全般を指します。

エーミングはこの電子制御装置整備の中心的な作業です。

車検への影響はある?

ADAS装備車両でフロントガラスやバンパーなどを交換・修理した際、エーミング記録簿が車検時に必要となります。

記録簿がない、または正しいエーミングがされていない場合、車検が通らないこともあるので注意が必要です。

経過措置も存在

制度開始当初は、既存の整備工場の設備や人材確保の負担に配慮し「経過措置」が設けられています。詳しくは国土交通省や各都道府県の案内を確認しましょう。

参考:国土交通省PDF

罰則は存在するのか?

特定整備に該当するエーミング作業を無認可工場が実施した場合、法令違反となり行政指導や営業停止命令、最悪の場合には罰金が科せられる場合もあります。

対処法は?

整備事業者は必ず「特定整備」の認証を取得し、作業の内容・記録簿の保管を徹底しましょう。

オーナーは、認証工場や信頼できる業者にエーミングを依頼することでリスクを回避できます。

エーミングの義務化で起こりうる悩みは?

ここではエーミングの義務化に共なって起こりうる悩みをQ&A方式で解説します。

Q.設備投資の負担は?

エーミングには専用のターゲットやスキャンツール、測定器など新たな設備投資が必要です。多くの整備工場にとって大きな負担となっています。

A.対処法は?

・国や自治体による補助金や支援制度を活用する
・複数業者で共同利用する仕組みを取り入れることで、設備投資の負担を軽減

 

Q.技術と知識の習得の問題は?

電子制御装置整備には高度な知識と技術が求められ、従来整備士のスキルだけでは対応が難しい面もあります。

A.対処法は?

・メーカー主催の研修や外部講習を受講
・資格取得支援を積極的に活用し、最新技術へのキャッチアップを図る

 

Q.作業時間の増加と効率化の課題

エーミング作業は従来よりも作業時間がかかり、効率化が課題となっています。

A.対処法は?

・最新のエーミングツール導入
・作業フローの見直し
・チームでのノウハウ共有による効率化・省力化

 

Q.費用請求と顧客理解の難しさ

エーミングは見えにくい作業なため、料金や必要性をお客様に説明しづらい面があります。

A.対処法は?

・作業内容や安全性への影響を説明
・車検・法令順守の重要性を記録簿や写真で示す
・丁寧な説明が顧客の信頼獲得につながる

 

Q.検査体制と車検への影響は?

エーミングの有無や記録簿が、今後の車検や各種検査の合否に直結するケースが増えています。

A.対処法は?

・作業後は必ず記録簿を発行
・車両ごとに管理を徹底
・顧客にもその重要性を説明し、再車検リスクを減らす

 

Q.人材不足は起こるのか?

整備士の高齢化や人材不足が進み、特定整備の担い手不足も社会的な課題です。

A.対処法は?

・資格取得支援や働きやすい環境づくり
・業務のデジタル化・効率化
・若手人材や女性の積極的な登用

 

まとめ

エーミング義務化は、先進運転支援システム(ADAS)の進化とともに「安全・安心な社会」を守るために導入されました。法的根拠や国際的な動向を踏まえ、設備・人材・ノウハウの面で新たな対応が求められています。

オーナーも事業者も、信頼できる認証工場や最新の情報に基づいたサービス選びが不可欠です。お困りの方は、まず専門家にご相談ください。

FAQ

・Q1. エーミング作業はどのタイミングで必要?
A. フロントガラス交換やバンパー交換、ADASセンサー修理などで車両のカメラ・レーダーのズレが生じたときに必要です。

・Q2. エーミングをしないと車検は通らない?
A. 記録簿がない場合や作業不備がある場合、車検に通らないことがあります。必ず認証工場での作業が必要です。

・Q3. エーミング作業の料金は?
A. 車種や装置数によりますが、1万円~3万円程度が一般的です。詳細は各工場にお問い合わせください。

・Q4. 特定整備認証がないと作業できませんか?
A. はい、特定整備認証のない工場でのエーミング作業は違法となります。必ず認証工場を利用しましょう。

 

参考文献・リンク

国土交通省:自動車の特定整備制度

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