コラム

日産・プロパイロットのエーミング|「走行校正」と「全周囲」を攻略するテクニカルガイド

はじめに|「技術の日産」を支える先進運転支援の核心

「やっちゃえ日産」のキャッチフレーズとともに、日本の自動運転技術をリードしてきた日産自動車。

その中核を成すのが、高速道路での同一車線走行を支援する「プロパイロット(ProPILOT)」です。

さらに、日産は駐車時の安全をサポートする「アラウンドビューモニター」を世界でいち早く普及させたメーカーでもあります。

日産車のエーミングは、フロントのカメラやレーダーだけでなく、車両を真上から見下ろすような映像を作る「全周囲カメラ」の校正まで含まれることが多く、他メーカーと比較しても作業バリエーションが非常に豊富です。

また、日産特有の「走行しながら学習させる」という手法もあり、整備現場にはデジタルな知識と、道路環境を選定する判断力の両方が求められます。

日産の安全システムと主要センサー

日産車のエーミングを理解するために、まずは搭載されている主要なセンサーとその役割を整理しましょう。

①フロントカメラ(単眼・三眼)

プロパイロットの主役です。

車線(白線)の維持や、先行車の検知、標識の読み取りを行います。

最新の「プロパイロット2.0」では、より高精度な検知のために3つのカメラ(三眼カメラ)を搭載しており、校正の難易度も一段と高まっています。

②ミリ波レーダー

フロントバンパー内に設置され、前走車との距離や速度差を測ります。

日産車は、かなり低い位置にレーダーが設置されている車種が多く、縁石への接触や雪道での衝撃によるズレが発生しやすい傾向にあります。

③アラウンドビューモニター(4つのカメラ)

フロント・両サイドミラー・リヤの計4箇所に設置されています。

これら全ての映像を「継ぎ目なく」合成するために、非常に緻密な校正が必要です。

日産エーミングの最大の特徴:「静的」と「動的」の使い分け

日産車のエーミングには、停車して行う「静的エーミング」と、走行して行う「動的(走行)エーミング」の2つの手法が存在します。

車種や年式によって、どちらか一方、あるいは両方の実施が求められます。

1.静的エーミング(工場内での作業)

専用のターゲット(模様)を車両前方に設置し、診断機で読み込ませます。

日産車はターゲットの設置位置が「ミリ単位」で指定されており、車両中心線の墨出しが完璧でないと、診断機がターゲットを認識してくれません。

2.動的エーミング(路上での走行校正)

日産車(特にセレナC27型やエクストレイルT32型など)で多く採用されているのが、実際に公道を走行してカメラに学習させる手法です。

 

・条件:「白線がはっきりしている」「ガードレールなどの静止物がある」「時速40km〜80km程度で一定時間走行する」といった条件が必要です。

・メリット:ターゲットを設置する手間が省けます。

・デメリット:天候(雨や霧)や渋滞、夜間は実施できません。また、走行中にエラーが出た場合のリカバリーに時間がかかります。

 

アラウンドビューモニターの校正:高いハードルと達成感

日産車の整備で避けて通れないのが、全周囲カメラの校正です。

ドアミラーを交換したり、カメラ故障で付け替えたりした際、そのままでは映像がズレてしまい、合成画面が使いものになりません。

この作業では、車両の周囲に巨大な「校正用シート」を複数枚敷き詰め、診断機上で4つのカメラの視点を一点一点合わせていきます。

シートの設置場所が1cmでもズレると、画面上の白線が折れ曲がって表示されるため、非常に神経を使う作業です。

しかし、これが完璧に決まった時の「真上から見た綺麗な映像」は、プロの整備士としての腕の見せどころでもあります。

日産車のエーミングにおける「ハマりどころ」

①セキュリティゲートウェイ(SGW)への対応

2020年後半以降に発売された日産車(新型ノート、オーラ、サクラなど)には、不正アクセス防止のためのSGWが搭載されています。

これに対応していない安価な診断機では、エーミングはおろか、故障診断コード(DTC)の消去すらできません。

正規ライセンスを保持した最新のスキャンツール環境が必須です。

②走行エーミングに適した「ルート選び」

「近所の道で適当に走れば終わるだろう」と思われがちですが、実際には白線がかすれていたり、信号が多すぎたりすると学習がなかなか完了しません。

走行エーミングを行うための「鉄板ルート」を確保しておくことが、作業効率を上げる秘訣です。

③ターゲットの認識エラー

静的エーミングにおいて、ターゲットを照らす光が強すぎると、カメラがハレーションを起こして模様を認識できません。

特に夜間、工場内の明るいLED照明がターゲットに直接反射しているようなケースでは、照明の角度を変えるなどの工夫が必要です。

まとめ:先進の「プロパイロット」を支えるために

日産の運転支援技術は非常に高度であり、その分、エーミングに求められる基準も年々高まっています。

「走行エーミングがあるから簡単だ」と思われがちですが、実際には走行環境の選定や、SGWの壁など、専門業者でなければ解決できない課題が多く存在します。

私たちは、日産車の特性を熟知したスタッフが、最新のスキャンツールと最適な作業環境(静的・動的の両方に対応)を整えてお待ちしております。

「チェックランプが消えない」「プロパイロットが作動しなくなった」「アラウンドビューの映像が歪んでいる」といったトラブルは、放置すると重大な事故に繋がりかねません。

日産車の本来の安全性能を最大限に引き出すために、ぜひ確かな技術を持つ私達にお任せください。

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