コラム

エーミングでの記録簿の書き方を解説

はじめに:エーミング作業と「記録簿」の切っても切れない関係

自動車整備の現場において、作業内容を証明する「点検整備記録簿」は、いわば車のカルテです。

特に、2020年から始まった特定整備制度以降は、自動ブレーキなどの先進運転支援システム(ADAS)に関わる整備を行った際には、従来の記録簿とは異なる「電子制御装置整備」の項目への記載が必須となりました。

「エーミングは行ったけれど、記録簿にはどう書けばいいのか?」「業者として法的に不備のない書き方を知りたい」という悩みを持つ方も多いでしょう。

また、一般ユーザーにとっても、記録簿に正しく記載されているかは、その車の安全性が公的に保証されているかを見極める重要な指標となります。

本記事では、エーミング実施時における記録簿の正しい書き方と、記載すべき重要項目について詳しく解説します。

なぜエーミングで「記録簿」の記載が義務なのか

特定整備制度の施行により、前方監視カメラやレーダーの脱着、あるいはそれらを校正する「エーミング」は法的整備項目となりました。

法令遵守(コンプライアンス)の観点

エーミングを伴う作業を行ったにもかかわらず、記録簿に正しく記載しないことは、整備士としての義務を怠るだけでなく、法令違反(未認証整備や虚偽記載)と判断されるリスクがあります。

車両の安全と責任の所在

万が一、納車後に自動ブレーキの不具合で事故が起きた際、記録簿は「正しくエーミングが行われていたか」を証明する唯一の証拠となります。

特にプロパイロットやアイサイトといった高度な独自機能を持つ車種では、精密な校正記録が信頼の裏付けとなります。

エーミング実施時の記録簿の具体的な書き方

現在の点検整備記録簿では、特定整備(電子制御装置整備)に対応した専用の欄、もしくは備考欄への詳細記載が求められます。

以下の項目を漏れなく記入することが基本です。

1. 整備の概要

どのような作業に伴ってエーミングが必要になったのかを明記します。

 

・記載例: 「フロントガラス交換に伴うフロントカメラのエーミング」「フロントバンパー脱着に伴うミリ波レーダーの校正」

 

2. 対象となる装置の名称

どのシステムを校正したのかを具体的に記載します。

 

・記載例: 衝突被害軽減ブレーキ(前方監視カメラ)、車線維持支援制御装置

 

3. エーミングの実施方法

「静的エーミング(ターゲット使用)」か「動的エーミング(走行による校正)」か、あるいはその両方か、実施した方法を記載します。

 

・記載例: 「静的エーミング実施(メーカー規定ターゲット使用)」「走行による動的キャリブレーション完了」

 

4. 診断機(スキャンツール)の使用

どの診断機を使用し、最終的に「正常」と判定されたかを記録します。

 

・記載例: 「〇〇社製スキャンツール使用、自己診断結果:正常(DTCなし)」

 

記録簿を記載する際の注意点と「落とし穴」

単に「エーミング実施」と書くだけでは不十分な場合があります。

特に以下の点に注意が必要です。

輸入車とSGW(セキュリティゲートウェイ)の記録

メルセデス・ベンツやBMWなどの輸入車でSGWを解除して作業を行った場合、その認証プロセスも含めて記録に残しておくことが望ましいです。

これにより、正規の手順でソフトウェアが更新・校正されたことを証明できます。

測定値の添付

可能であれば、スキャンツールから出力される「エーミング完了レポート」や「測定値のキャプチャ」を記録簿と一緒に保管し、備考欄に「別紙レポート参照」と記載するのがプロの仕事です。

数値としての証拠が、作業の透明性を高めます。

実例:記録簿の記載不備が招いたトラブル

現場で実際に起きた、記録簿にまつわる失敗事例をご紹介します。

事例:記載漏れによる「OBD車検」での不合格

ある業者がフロントガラス交換後にエーミングを行いましたが、記録簿への記載を「清掃・調整」のみに留めていました。

その後、ユーザーが車検に出した際、OBD診断で「カメラ校正履歴の不整合」が検知され、特定整備の記録がないことから不正整備を疑われ、車検が中断してしまいました。

成功例:詳細な記録が車両価値を守った

中古車査定の際、アラウンドビューモニターの校正記録が詳細に記録簿へ残っていた車両の例です。

高度な整備が正規の認証工場で行われていた証明となり、ADASの信頼性が高く評価され、相場以上の査定額がつきました。

正しい記録簿の発行ができる工場の見分け方

整備を依頼する際は、以下の対応をしてくれるかを確認してください。

 

・特定整備記録簿の様式を正しく使用しているか

・作業後にスキャンツールの診断レポートを提示してくれるか

・備考欄に「どのセンサーをどう調整したか」を具体的に書いているか


 

これらが徹底されている工場こそ、法改正後の2026年現在、信頼に値するプロフェッショナルといえます。

まとめ:記録簿は「安心の証明書」

エーミングにおける記録簿の書き方は、単なる事務作業ではなく、ドライバーの命を守るための「責任の可視化」です。

正しく記載された一文字一文字が、事故を未然に防ぎ、万が一の際の盾となります。

株式会社エイニーズガレージでは、国産車・輸入車を問わず、すべてのエーミング作業において法令に基づいた詳細な「特定整備記録簿」を発行しています。

 

・最新の診断データに基づいた正確な記載

・SGW解除やオンライン校正の履歴管理

・専門知識を持った整備士による丁寧な解説


 

「記録簿の書き方がわからない業者様」へのアドバイスや外注受け入れ、「自分の車の記録簿が正しく書かれているか不安なユーザー様」のご相談も承っております。

確かな記録と技術で、皆様のカーライフに安心をお届けします。

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